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「承久記」公卿罪科の事(その8)

一条の宰相中将信能のぶよしは、美濃の国遠山にて斬り奉る。同じき十八日、甲斐の宰相中将範茂のりもちは、足柄山の関の東にて出家し、晴河と言ふ浅き河のつつみを堰き止めて、沈め奉らんとす。

思ひきや 苔の下水 せきとめて 月ならぬ身の やどるべきとは

とて自水せらる。六人の公卿の後の嘆き、言ふも中々愚かなり。




一条宰相中将信能(一条信能)は、美濃国の遠山(現長野県飯田市)で斬られました。同じ七月十八日、甲斐宰相中将範茂(藤原範茂)は、足柄山関(神奈川・静岡県境にある足柄峠)の東で出家し、晴河という小さな川の堤([土手])を堰き止めて、入水しようとしました。

思いもしなかったことだが、苔の下を流れる川水を堰き止めて、月でもない我が身を、宿すことになろうとは。

と詠んで自水([身投げ])しました六人の公卿の嘆きは、申すまでもありませんでした。


続く
by santalab | 2014-05-21 08:19 | 承久記

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