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「曽我物語」虎、箱根にて暇乞ひして、行き別れし事(その2)

母御前力なく、五朗ごらう遺跡ゆいせきなれば、名残りしくは思へども、ここにて、日を送るべき事ならねば、別当べつたういとまを請ひ、かへるとて、虎御前にまうされけるは、「曽我へいざさせ給へ、十郎じふらうが形見に見まゐらせさうらはん」と言はれければ、虎、「もつとも御供申し候ひて、形見にも見え参らせたくは候へども、これより善光寺ぜんくわうじへの心ざし候ふ。下向げかうにこそ参り候はめ」とて、行き別れぬ。




母御前は仕方なく、五朗(曽我時致ときむね)の遺跡([縁のある場所])ならば、名残り惜しくは思いましたが、ここ(箱根)で、日を送る訳にもいかず、別当(行実ぎやうじつ僧正)に別れを申して、帰る折、虎御前(大磯の遊女、曽我祐成すけなりの妾)に申すには、「曽我(神奈川県小田原市)へ一緒に参りましょう、十郎(曽我祐成)の形見の場所ですから」と言いましたが、虎御前は、「お供申し上げ、形見にお目にかかりたいのは山々ではございますが、わたしはこれより善光寺(長野県長野市にある寺)に参りたいと思います。善光寺からの帰りには必ず参りましょう」と言って、祐成の母と行き別れました。


続く
by santalab | 2014-06-14 08:12 | 曽我物語

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