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「曽我物語」九月名月に出でて、一萬・筥王、父の事歎く事(その2)

数ならぬ身にも、日数ひかずの積もれば、早や憂き事どもに永らへて、九つ・七つにぞなりにける。折節をりふし、九月十三夜の、まことに名ある月ながら、隈なき影に、兄弟きやうだいにはに出でて遊びけるが、五つ連れたる雁が音の、西に飛びけるを、一萬が見て、「あれ御覧ぜよ、筥王はこわう殿。雲居くもゐの雁の、いづくを指してか飛び行くらん。一つらも離れぬ仲の羨ましさよ」。おとと聞きて、「何かはさほど羨むべき。我らが伴ふ者どもも、遊べば、ともに打ち連れ、かへれば、連れて帰るなり」。




数にも入らない身でしたが、日数が積もれば、早くも悲しみの中に永らえて、九つ(一萬)・七つ(筥王)になりました。ちょうど、九月十三夜の、名月の夜、曇りない月影に、兄弟は、庭に出て遊んでいましたが、五つ連れた雁が、西に飛んで行くのを、一萬が見て、「あれを見よ、筥王殿。雲居の雁が、いったいどこに飛んで行くのだろう。一つとして離れぬ仲がうらやましいなぁ」と言いました。弟(筥王)はこれを聞いて、「何をそれほどうらやましく思うのです。我らが連れる者たちも、遊べば、一緒に連れて行くし、帰る時も、一緒です」と答えました。


続く
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by santalab | 2014-06-16 19:10 | 曽我物語 | Comments(0)

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