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「曽我物語」人々、君へ参りて、請ひ申さるる事(その5)

常胤つねたね、重ねてまうされけるは、「恐れ存じさうらふ事なれども、それがしに限らず、今日の訴訟人、時に取りての御大事、たれ身命しんみやうしみ、不忠を思ひ奉る者の候ふべき。その御心ざしに、御免渡らせおはしまして、彼らを御助け候ふべし」「さても、彼らが祖父おほぢは、不忠の者にはあらざるをや」「さてこそ、御慈悲にて、御助け候へとはまうせ」「奈落にしづ極重ごくぢゆうの罪人をば、慈悲の仏だにも、救ひ給はずとこそ聞け」。




常胤(千葉常胤)が、重ねて申すには、「恐れ多く存じ上げますが、わたしに限らず、今日の訴訟人は、時の大事にございます、身命を惜しみ、不忠を致す者などここにはおりません。その心ざしに、ご免いただきまして、どうか彼らをお助けくださいませ」「ならば聞くが、彼ら(一萬・筥王)の祖父(伊東祐親すけちか)は、不忠の者ではないと申すか」「ならばこそでございます、ですからご慈悲をもって、お助けくださいと申しておるのでございます」「奈落([仏教における地獄])に沈む極悪の罪人は、慈悲の仏でさえも、救わぬと聞いておるぞ」。


続く


by santalab | 2014-07-10 08:47 | 曽我物語

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