それからは荻の葉に吹く秋風に劣らぬほど中将からの文が届くようになりました。女は「困ったことになったわ。人の心というのはどうして一途になれるものなのかしら」とよく知っているかのように思っては、ようやく昔のことを思い出して、「もう二度とこのようなことを、人がなさらないようにお願いいたします」と、経を習って読むようになりました。心の内にもいつも願っていました。こうして世の中のすべてを捨て去って、「若い人なのに楽しむこともなく、内気なのも本性なのでしょう」とまわりの者は思うようになりました。姿かたちは驚くほど美しいので、ほかの短所は気にならず、明け暮れ女を見て心の慰めにしていました。少し微笑む時あれば珍しくありがたいものに思えるのでした。
(続く)