Santa Lab's Blog


「とりかへばや物語」巻一(その10)

あないみじのわざや、さてもこれはかくてあるべき事かは、今はともかくもしなすべき方のなきも、今さらに責めて女に取りなすべきやうもなかめり。これも法師になして、人に交らせず、後の世を勤めさせんこそよからめと思すも、心々はまたさしもあらじかし、かばかりの宿世なりければ、いま少し言ひ所あることもこそまさらめ、本意深き道心ならぬものから、皆いたづらにしなして止みなんが由なさよ、など思しくだく。世に似ずるなかりける宿世かなとかへす返す思し知らる。




なんとも悲しい、といったところでもはや仕方のないことだが、今はどうこういったところでどうにもならぬ。今さら女として扱うわけにもいかないだろう。これも法師にして、人と交わらせず、後世の勤めをさせるほかないかと思いましたが、姫君【若君】若君【姫君】はこれっぽちもそんなつもりはないだろう、これほどの宿世であれば、もう少しましなものもありそうだし、本意から深い道心のない者を、皆仏門に入れるのもよくなかろう、などと権大納言は思い悩むのでした。それにしても世にないほどの宿世だと返す返す思い知られるのでした。


続く


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by santalab | 2014-09-09 21:56 | とりかへばや物語 | Comments(0)

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