人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「増鏡」叢時雨(その34)

中務なかづかさの宮は、正成まさしげが許におはしましつれど、御門のかくならせ給ひぬれば、今は甲斐かひなしとて、それも都へ入らせ給ひて、佐々木の判官はうぐわん時信ときのぶと言ふ者のいへに渡らせ給ひぬ。徒然つれづれと、物思し乱るるより外の事なし。

世の憂さを 空にも知るや 神無月 理すぎて 降る時雨かな




中務の宮(第九十六代後醍醐天皇の第一皇子、尊良たかよし親王 )は、正成(楠木正成)の許におられましたが、帝(後醍醐天皇)が都に入られた上は、今では仕方のないことと、同じく都に戻られて、佐々木判官時信(佐々木時信)と申す宿所に移られました。ただただ、心乱されるばかりでございました。

わたしの悲しみを、天も知っているのか神無月の月よ。それとも悲しみを知るまでもないことと、時雨は降るのだろうか。


続く


by santalab | 2014-10-07 21:25 | 増鏡

<< 「とりかへばや物語」巻一(その50)      「増鏡」叢時雨(その33) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧