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昔、中納言にて、左衛門の督かみ掛け給ふ人おはしけり。妻二人、定め給ふ。一人は時めく諸大夫の御娘とも聞こゆる、この御腹に姫君二人おはします。今一人は古き宮腹の御娘にて、万よろづ並べてならぬ人にてぞおはしける。
昔、中納言で左衛門督を兼ねた人がおられました。妻が二人、おられました。一人は今をときめく諸大夫の娘とお聞きしましたが、この妻との間に姫君が二人おりました。もう一人の妻は昔天皇であられた皇子の娘で、すべて人に優れた人でございました。
(続く)
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