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「住吉物語」上(その3)

かくて、年月るほどに、姫君七歳といふに、母宮、例ならず悩み給ふ。日を経て重くのみ見え給ひければ、母宮申されけるは、「我なからん跡までも、この幼ひもの、人並み並みならん振る舞ひ、せさせ給ひそ。異君達こときんだちに思し落とすな」と、申されければ、中納言うち泣きて、「我も同じ親なれば、をとりてやは」など、語らひ給ひて、明かし暮らすほどに、この世は、はかなく定めなきところなれば、情けなく、昔語りになり果てにけり。中納言、「我も同じ道に」と、悲しみながら、後の世ども、さるべきやうにして、四十九日なななぬかも果てぬれば、元の北の方へ渡り給ひぬ。




こうして、年月を経るほどに、姫君が七歳の時、母宮は、病いを患いました。日を経るにつれ病いは重くなるように思えて、母宮が中納言に申すには、「もしわたしがこの世からいなくなっても、この子に、人並みの扱いは、させないでください。他の子と同じように思わないでほしいのです」と、申せば、中納言も涙を流して、「わたしもこの子の親です、どうして疎かにすることがあろう」と、話して、日々を過ごすうちに、この世は、はかなくも定めのないものですれば、無情なことに、母宮は亡くなってしまいました。中納言は、「わたしも一緒に同じ道に」と、悲しみながらも、母宮の後世を弔い、四十九日も過ぎて、元の北の方の許に移りました。


続く


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by santalab | 2014-10-15 21:48 | 住吉物語 | Comments(0)

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