元の諸大夫の娘の御腹にも、姫君二人おはしましける、いづれも傅きながら、この姫君は、勝れて傅き給ふ。一所にも住ませまほしく思し召しけれども、「昔も今も、まことならぬ親子の仲は」とて、幼くおはしますほどは、乳母の許に住ませ聞こえ給ひけり。
中納言には元の諸大夫の娘との間にも、姫君が二人おりました、この姫君たちのこともかわいがっておりましたが、まして宮腹の姫君を大事にしておりました。同じ所に住まわせたいと思いましたが、「昔も今も、実でない親子の仲は」と思われて、幼い間は、宮腹の姫君を乳母の許に住まわせたのです。
(続く)