唐土の人めかしく、け遠く人に似ぬところやなど、ゆかしさにかばかり乱れつるを、いと貴に見まほしき御有様かなと、あはれにめでたく、いよいよ心の限り頼め契り給ふ、男の御様はたさらなり。いみじくめでたき朝けの御様姿を、互にいとめでたしと見給ふにも、明かくなり行けば出で給ひぬ。
姫君【吉野の大君】は唐の人のように、どこか隔たりがあり日本の人とは異なっているのではないかと気にしていましたが、奥ゆかしくこれほど驚いても、とても気品があり魅力的で、美しく、中納言【姫君】はますます頼みになることを約束しました、姫君【吉野の大君】もまた中納言のことを美しい男の人と思いました。理想的な朝の姿を、お互いにとても美しいと見て、夜が明けると中納言は部屋を出て行きました。
(続く)