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「増鏡」おりゐる雲(その4)

二十三日、また御消息せうそこまゐる。御使ひ頭の中将通世みちよ、こたみも殿書かせ給ふめり。この頃、殿と聞こゆるは、太政大臣兼平かねひら大臣おとど、岡の屋殿の御弟ぞかし。後には照念院殿と申しけり。御手勝れてめでたく書かせ給ひしよ。鷹司殿たかつかさどのの御家の始めなるべし。

朝日影 今日よりしるき 雲の上の 空にぞ千代の 色も見えける

御返し、太政大臣おほきおとど聞こえ給ふ。
朝日影 あらはれそむる 雲の上に 行くすゑ遠き 契りをぞしる

女の装束しやうぞく細長ほそなが添へてかづけ給ふ。




十二月二十三日、また後深草天皇(第八十九代天皇)より文がございました。お使いは頭中将通世(久我通世)、この度も殿が返事を書かれました。この頃、殿と申すのは、太政大臣兼平大臣(鷹司兼平)、岡屋殿(近衛兼経かねつね)の弟でございます。後には照念院殿と申されました。字がお上手で歌にも優れておられました。鷹司殿の家(鷹司家)の祖でございます。

朝日の光も今日からはまして明るく輝いております。雲の上の空には千代変わらぬ色も見えております。

お返しは、太政大臣(西園寺実氏さねうぢ)が詠まれました。
朝日の光に現われて、雲の上([宮中])に末永くあられる帝(後深草天皇)との宿縁があったことを知ったのでございます。

女の装束に、細長([貴族の女性の衣服])を添へてお使いに被けられました。


続く


by santalab | 2014-11-17 08:49 | 増鏡

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