人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「増鏡」今日の日影(その16)

ほのぼのと明くるほどに、内・春宮、御車にて忍びてかへらせ給ひて、昼つ方ぞ、またさらに春日殿へなる。大方、雲のうへ穢れぬれば、いかがにて、中宮の御座ござ腰輿ようよ寄せて、兵衛の陣より出でさせ給ふ。春宮は糸毛の御車にて、また常盤井ときはゐ殿へ渡らせ給ふ。中宮も春日殿へ行啓ぎやうげいなる。世の中揺すり騒ぐ様、言の葉もなし。




ほのぼのと夜が明ける頃、内(第九十二代伏見天皇)・春宮(胤仁たねひと親王)は、車で忍び内裏へお帰りになられて、昼頃、また続いて春日殿へ移られました。ここかしこ、雲の上([宮中])は穢れておりましたので、いかがせんと、中宮(西園寺鏱子しようし)の昼の御座([昼間の御座])に腰輿([手輿]=[前後二人でながえを手で腰の辺りに持ち添えて運ぶ乗り物])を寄せられて、兵衛の陣よりお出になられました。春宮は糸毛の車([牛車の屋形の表を色糸で飾ったもの。主に女性用])で、また常盤井殿(西園寺実氏さねうぢの別荘)に渡られました。中宮も春日殿へ行啓になられました。世の中の騒ぎは、言葉もないほどでございました。


続く


by santalab | 2015-02-10 08:52 | 増鏡

<< 「増鏡」今日の日影(その17)      「曽我物語」箱根にて仏事の事(... >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧