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Santa Lab's Blog


「曽我物語」同じく相撲の事(その13)

俣野は、やがて起きなほり、「相撲すまふに負くるは、常の習ひ、なんぞ御分が片手業かたてわざ」。河津かはづ言ひけるは、「以前も、勝ちたる相撲を、御論さうらあひだ、今度は、真つ中にて、片手を以つて打ちまうしたり。いまだ御不審や候ふべき。御覧じつるか、人々」と言ふ。大庭おほば、これを見て、わらはに持たせたる太刀追つ取り、するりと抜きて、飛んで掛かる。座敷、にはかに騒ぎ、ばつと立つ。伊東方に寄る者もあり、大庭が方に寄る者もあり。両方りやうばうへんと下り塞がり、銚子てうしさかづき踏み割り、酒肴さけさかなをこぼす。雑兵ざふひやう三千余人までも、いくさせんとてひしめきけり。




俣野(俣野景久かげひさ)は、やがて起き上がり、「たかが相撲に負けたただそれだけのことよ、大したことではない、お主の片手業([片手でするわざ])に手を抜いただけのことよ」。河津(河津祐泰すけやす)が申すには、「さっきも勝ったではないか、お主があれこれ言い訳したので、今度は、真ん中で、ほんの片手で相手しただけのことよ。まだ勝ち負けにけちを付けるつもりか。見たや、俣野方の人々」と申しました。大庭(大庭景義かげよし>)は、これを聞くと、童に持たせていた太刀を奪い取り、するりと抜いて、河津(祐泰)に飛んで掛かりました。座敷は、またたく間に騒ぎとなり、皆人がぱっと座を立ちました。伊東方に寄る者もあり、大庭方に寄る者もありました。両方防ごうと前に立ちはだかりました、銚子・盃を踏み割り、酒肴がこぼれちらかりました。雑兵三千余人が、いざ戦とひしめき合いました。


続く


by santalab | 2015-04-18 07:19 | 曽我物語

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