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Santa Lab's Blog


「曽我物語」千草の花見し事(その4)

「さても、我らが思ひ立つ事、母に露ほども知らせ奉るべきか。計らひさうらへ」と言ひければ、時致ときむね聞き、「思ひも寄らぬ御事なり。これほど思ひ定めざるさきは知らず、今は如何でか変じ候ふべき。そのうへ、人の子が謀反起こして出で候はんに、その親聞きて、急ぎしにて、物思はせよとて、喜ぶ母や候ふべき。それがしは、ただ御形見を賜はりて、最後まで身に添へ、こなたよりもまたまゐらせて、罷り出でんとこそ存じ候へ」。十郎じふらう聞きて、「まことにこの儀しかるべし。さらば、そのついでに、御分が勘当かんだうをもまうし許して見ん」とて、母の方へぞ出でたりける。




十郎(曽我祐成すけなり)が「さておき、我らが思い立ったことを、母にわずかも知らせるべきか。どう思うや」と申せば、時致(曽我時致)はこの言葉を聞いて、「思いもしなかったことです。これほどまで覚悟を決める前は知りませんが、今となっては心は変わりません。その上、人の子が謀反を起こそうと向かうところに、親が聞いて、よくぞ、決心したと、よろこぶ母がありましょうか。わたしは、ただ形見ばかりをいただいて、最後の時まで身に添え、こちらからも形見を参らせて、出て行こうと思います」と答えました。十郎(祐成)はこれを聞いて、「たしかにその通りだな。ならば、母に会うついでに、そなたの勘当を許してもらえるよう話してみよう」と申して、母の許へ向かいました。


続く


by santalab | 2015-04-18 07:25 | 曽我物語

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