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「曽我物語」三井寺大師の事(その1)

十郎じふらうは、「足柄を越えて行かん」と言ふ。五朗ごらうは、「箱根を越えん」と言ふ。いはれあり。この三四年、別当べつたうの呼び給へども、をとこになりける面目なさに、見参げんざんに入らず、ついでに打ち寄りて、御目に掛かるべし、最後のいとまをもまうさんとてまゐりたりと思し召さば、聖教せうぎやうの一くわん、陀羅尼の一返なりとも、とぶらひ給ふべき善知識ぜんぢしきなり。その上、師の恩を重くすれば、ほふあづかるためしあり。




十郎(曽我祐成すけなり)は、「足柄(現神奈川・静岡県境にある足柄峠)を越えて行こう」と言いました。五朗(曽我時致ときむね)は、「箱根(現神奈川県と静岡県の境、箱根外輪山の南端にある峠)を越えましょう」と言いました。五朗(時致)には訳がありました。この三四年、別当((箱根別当。行実ぎやうじつ僧正)から訪ねられよと誘いがありましたが、男になった面目のなさに、会うこともありませんでした、このついでに立ち寄って、お目に掛かり、最後の別れを申すために参ろうと思っていました、聖教([仏教の経典の尊称])の一巻、陀羅尼([梵文ぼんぶんを翻訳しないままで唱えるもので、不思議な力をもつものと信じられる比較的長文の呪文])の一返なりとも、弔う([死者のために葬儀・供養・法要を営む])善知識([人を仏道へ導く機縁となるもの])と思ってのことでした。その上、師の恩を大切にすれば、仏法の恩恵にあずかるという例がありました。


続く


by santalab | 2015-04-19 09:15 | 曽我物語

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