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Santa Lab's Blog


「曽我物語」三井寺大師の事(その10)

晴明せいめい遅しと、待ちし事なれば、七尺に床を掻き、五色のへいを立て並べ、金銭散供きんせんさんぐ、数の菓子くわしを盛り立て、証空しようくうを中に据ゑて、晴明、礼拝らいはい恭敬くぎやうして、数珠はらはらと押し揉み、上は梵天ぼんでん帝釈、四大天王てんわう、下は堅牢地神けんらうぢじん八大龍王はつだいりゆうわうまで勧請くわんじやうして、既に祭文さいもんに及びければ、護法ごほふの渡ると見えて、色々の金銭幣帛きんせんへいはく、あるいは空に舞ひ上がりて、舞ひ遊び、あるいは壇上だんじやうをどまはる。絵像ゑざう大聖だいしやう不動明王ふどうみやうわうは、利剣りけんを振り給ひければ、その時、晴明、座を立つて、数珠、証空のかうべをなで、「平等びやうどう大慧だいゑ、一乗妙典めうでん」と言ひければ、すなはち、上人しやうにん苦悩くなう醒めて、証空に移りけり。やがて、五体より汗を流し、五蘊ごうんを破り、骨髄を砕く事、言ふに及ばず。




晴明(安倍晴明)は帰り遅しと、待っていましたので、たちまち七尺に床を払い、五色の幣を立て並べ、金銭散供([銭をまき散らして神仏に供えること])、数多くの菓子を盛り立て、証空を中に据えるました、晴明は、礼拝恭敬して、数珠を隙なく押し揉み、上は梵天帝釈(梵天と帝釈天。仏教の守護神)、四大天王(四天王。帝釈天の外臣、持国天・増長天・広目天・多聞天)、下は堅牢地神([仏教における天部の神の一柱で大地を司る。通常は女神])、八大龍王([仏法を守る八体の竜神])まで勧請して、すでに祭文に及べば、護法([法力])は通じたと思われて、色々の金銭幣帛は、あるは空に舞い上がり、舞い、あるは壇上を躍り回りました。絵像の大聖不動明王は、利剣を振り下ろしました、その時、晴明は、座を立ち、数珠で、証空の頭をなで、「平等大慧(一切衆生は平等であり、仏と衆生も一体であるという意味)、一乗妙典([一乗の理を明らかにする経典。法華経])」と言うと、たちまち、智興ちかう上人の苦悩は消えて、証空に移りました。やがて、証空は五体より汗を流し、五蘊([五蘊盛苦]=[仏教の説く四苦八苦の一])が襲い、苦しむことは、言うまでもないことでした。


続く


by santalab | 2015-04-19 14:40 | 曽我物語

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