人気ブログランキング |

Santa Lab's Blog


「曽我物語」李将軍が事(その6)

八日の夜半に及びて、ある谷間たにあひに、けだものおほく集まり寝たり。その中に、臥長ふしたけ一丈いちぢやう余りなる虎の、両眼りやうがんは日月を並べたるやうにて、くれなゐの舌を振り、伏しければ、肝たましひを失ふべきに、さる将軍しやうぐんの子なりければ、これこそ父の敵よと、矢取つて差し番ひ、よ引きて放つ。あやまたず、虎の左のまなこに射立てたり。少し弱ると見えければ、かうりよく、むまより飛んで下り、腰の刀を抜き、虎を斬らんと見ければ、虎にてはなし。年経たる石の苔生したるにてぞありけり。斯様かやうの心ざしにて、つひかたきを討つ。




八日目の夜になりました、ある谷間に、獣が数多く集まり寝ていました。その中に、臥長一丈(約3m)余りの虎が、両眼は日月を並べたよう、紅の舌を出して、伏していました、肝魂を失うほどでしたが、勇敢な将軍の子でしたので、これこそ父の敵よと、矢を取って差し番ひ、しっかり引いて矢を放ちました。矢は過たず、虎の左の眼に挿さりました。少し弱るように見えたので、かうりよくは、馬より飛んで下り、腰の刀を抜き、虎を斬ろうと見れば、虎ではありませんでした。年経た石に苔が生したものでした。こうして、遂に敵を討ちました。


続く


by santalab | 2015-04-25 18:03 | 曽我物語

<< 「曽我物語」李将軍が事(その7)      「曽我物語」李将軍が事(その5) >>
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧