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Santa Lab's Blog


「曽我物語」河津が討たれし事(その7)

さてあるべきにあらざれば、空しきかたちを舁かせて、いへかへりければ、女房にようばうを始めとして、怪しのしづ、賎のに至るまで、歎きのこゑ、詮方もなし。さても、かの河津かはづ三郎さぶらう祐重すけしげに、男子なんし二人あり。兄は、一萬いちまんとて、五つなり、おととは、筥王はこわうとて、三つにぞなりにける。母、思ひの余りに、二人の子どもを左右さうの膝に据ゑ置きて、髪掻き撫で、泣く泣くまうしけるは、「腹の内の子だにも、母の言ふ事をば聞き知るものを、ましてなんぢら、五つや三つに成るぞかし。十五、十三にならば、親の仇を討ち、わらはに見せよ」と泣きければ、弟は、聞き知らず、手ずさみして、遊びたるばかりなり。




仕方なく、むなしくなった骸を舁かせて、家に帰れば、女房をはじめ、身分賎しい男、賎女にいたるまで、嘆く声は、言いようもなく悲しいものでした。さて、この河津三郎祐重(河津祐泰すけやす)には、男の子が二人ありました。兄は、一萬と申して、五つでした、弟は、筥王と申して、三つになっていました。母は、悲しみのあまり、二人の子どもを左右の膝に乗せて、髪を掻き撫で、泣く泣く申すには、「腹の内の子でさえも、母の言うことを聞くものを、ましてお前たちは、五つや三つになります。十五、十三になれば、親の仇を討ち、わたしに見せておくれ」と泣きました、弟(筥王)は、意味を知らず、手遊びして、遊ぶばかりでした。


続く


by santalab | 2015-05-01 08:08 | 曽我物語

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