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「曽我物語」仏性国の雨の事(その1)

しかれば、縁に依りて、仏果ぶつくわる事を思へば、昔、仏性国ぶつしやうこくに、血の雨降りて、国土くれなゐなり。帝、おほきに驚かせ給ひて、博士を召して、御たづねありければ、占形うらがたを引き、まうしけるは、「今宵こよひ、不思議の子を生む者あり。尋ね出だして、とほき島に捨てらるべし」とまうしければ、舎衛城しやゑじやうの中に、その夜、さんしたる者、千余人なり。その中より選び出だして、口よりほのほ出づるを生みたる者あり。すなはち、これを人まふとぞ名付けける。これ、不思議の者とて、官人くわんにんおほせ付けて、遠島に捨てけり。




このように、縁によって、仏果を得ることを思えば、昔、仏性国に、血の雨が降り、国土は紅に染まりました。帝は、たいそう驚いて、博士を呼んで、訳を訊ねると、占形([亀の甲・鹿の骨などを焼いて占うときに現れる形])を引き、申すには、「今宵、不思議の子を生む者がおります。探し出して、遠島にお捨てになられますよう」と申しました、舎衛城([古代インドのコーサラ国にあった首都 ])の中に、その夜、産をする者が、千余人いました。その中より探し出して、口より焔を出す子を生む者がいました。すぐさま、この子を人蟒([蟒]=[巨大なヘビの呼称])と名付けられました。これを、不思議の者と、官人に命じて、遠島に捨てさせました。


続く


by santalab | 2015-05-08 09:06 | 曽我物語

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