Santa Lab's Blog


「曽我物語」橘の事(その1)

そもそも、橘と言ふ木の実の始まりは、「人王十一代の御門垂仁天皇すいにんてんわうの御時よりぞ出で来ける」と、日本紀につぽんぎは見え、しかるに、この橘は、常世とこよの国より、三つまゐらせたり。折節をりふし、后懐妊くわいにんし、かの橘を用ひ給ひて、懐胎くわいたいの悩み絶えて、御心すずしかりけり。れば、斯様かやうの物もありけるよと、朝夕てうせき願ひ給へども、我が国になき木の実なりければ、力なし。




そもそも、橘([ミカン科の常緑小高木。日本原産唯一の柑橘類])と言う木の実の始まりは、「人王十一代の帝垂仁天皇の御時に出来た」と、日本紀(『日本書紀』)に書かれています(非時香菓ときじくのかくのこのみ)、けれども、橘は、常世の国([かつて海の彼方にあると考えられていた架空の国])より、三つ持ち帰ったものでした。ちょうど、后(日葉酢媛命ひばすひめのみこと)が懐妊していましたが(ちなみにこの時、垂仁天皇は百五十歳を越えていた計算になります)、橘を食すと、懐胎の苦しみは消えて、気分が晴れました。そういう訳で、このような物があるのかと、朝夕所望しましたが、我が国にない木の実でしたので、望むべくもありませんでした。


続く


[PR]
by santalab | 2015-05-29 14:47 | 曽我物語 | Comments(0)

<< 「曽我物語」橘の事(その2)      「曽我物語」時政が娘の事 >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧