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Santa Lab's Blog


「曽我物語」五朗御前へ召し出され、聞こし召し問はるる事(その11)

「さて、五朗丸ごらうまるには、如何にして抱かれけるぞ」。「それは、かのわらはをんなと見成し、何事さうらはんと存じて、不慮に取られて候ふ。斯様かやうなるべしと存ずるものならば、ただ一太刀の勝負にて候はんずるものをと、後悔こうくわいえきなし。これ、偏へに宿運の尽きぬるゆゑなり。にや、『羅網らまうの鳥は、高く飛ばざるを恨み、呑鉤どんこううをは、海を忍ばざるを歎く』とは、要覧えうらんの言葉なるをや、今こそ思ひ知られたる。君の御佩刀はかせかねのほどをも見奉り、時致がくたり太刀のやいばのほどをも試し候はんずるものを」と、言葉を放ちてぞまうしける。




「さて、五郎丸に、どうして捕らえられたのだ」。「それは、かの童(五郎丸)を女と見て、何事かあるものかと思い、思いかけず捕まったのでございます。もし男と知っていたならば、ただ一太刀勝負するべきと、後悔したところでどうしようもないこと。これ、詰まるところ宿運が尽きたということです。『羅網([鳥を捕らえる網])に捕らえられた鳥は、高く飛ばなかったことを後悔し、釣り針にかかった魚は、海(飢え)を我慢しなかったことを嘆く」とは、要覧(?)の言葉でしたか、今こそ思い知られました。君(源頼朝)の佩刀([帯刀])の鉄のほども見て、この時致のくたり太刀(腐り太刀)の刃のほどを試してみたかったものを」と、言葉を放ちました。


続く


by santalab | 2015-06-07 15:36 | 曽我物語

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