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「曽我物語」酒の事(その3)

また、「風妨ふうばう」とも言へり。風のさまたるく義なり。また、ある者のいへに、杉三本あり。その木のしただり、いはうへに落ち溜まり、酒と成ると言ふ説あり。その時は、「三木みき」と書くべきか。また、しん心ほうにいはく、「新酒百薬長やくちやうたり」とも書けり。漢書かんじよには、「石祚せきそ、三木を得て、天命を助く」と書けり。また、慈童じどうと言ひし者は、七百歳を得て、彭祖はうそと名を変へし仙人、菊水とてもて遊びけるも、この酒なり。これは、法華経ほけきやう普門品ふもんぼんの二句のを聞きしゆゑに、菊の下行くみづ、不死の薬となりけるを、この仙人は用ひけるとかや。おほやけにも、これを移して、重陽てうやうの宴とて、酒に菊を入れて用ひ給ふ。




また、「風妨」とも申します。風邪を妨げるという意味です。また、ある者の家に、杉が三本ありました。その木からしたたり、岩の上に落ちて、酒になるという説もございます。その時は、「三木」と書くべきでしょうか。また、しん心ほう(医心方=日本現存最古の医学書?)にいわく、「酒は百薬の長」とも書いてございます。漢書([前漢のことを記した歴史書])には、「石祚が、三木を得て、天命を助ける」と書いてあります。また、慈童(菊慈童。中国の魏の文帝=魏の初代皇帝で曹操の子、曹丕そうひ。の臣下だったそうな)と申す者は、七百歳の齢を得て、彭祖と名を変えた仙人ですが、菊水(中国河南省南部を流れる白河の支流)と好んだのも、酒のことでした(不老長生の霊泉が湧き出ていたらしい)。これは、法華経普門品([観音経])の二句の偈([法文])を聞いて、菊の下行く水は、不死の薬となると、この仙人は知っていたからでしょう。朝廷にも、この酒を伝えて、重陽の宴([重陽の日=陰暦九月九日。に催される観菊の宴])と申して、酒に菊を入れるのです。


続く


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by santalab | 2015-06-14 08:50 | 曽我物語 | Comments(0)

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