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「曽我物語」呉越の戦ひの事(その10)

さて、王鼠石与わうせきよとて、八歳に成る最愛さいあひの太子ありけり。呼び出だして、「なんぢ、未だ幼稚なり。かたきに生け捕られて、憂き目を見ん事、口惜くちをし。なんぢを先立てて、心安く討ち死にして、九泉きうせんの苔の下、三途さんづの露の底までも、父子ふしの恩愛、捨てじと思ふなり。急ぎ殺すべし」と言ひければ、太子、何心もなくてぞありにける。また、随身の重器ちようきを積み重ねて、ことごとく焼き失はんとす。




さて、勾踐こうせんには王鼠石与と申して、八歳になる最愛の太子がいました。呼び出して、「お前は、まだ幼い。敵に生け捕られて、憂き目を見ることが、残念だ。お前を先立てて、心安く討ち死にして、九泉([死後の世界])の苔の下、三途の露の底までも、父子の恩愛は、捨てまいと思う。急ぎ殺そうと思う」と申せば、太子は、是非もありませんでした。また、随身の重器([重宝])を積み重ねて、一つ残さず焼き失おうとしました。


続く


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by santalab | 2015-06-21 11:33 | 曽我物語 | Comments(0)

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