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Santa Lab's Blog


「曽我物語」呉越の戦ひの事(その22)

さて、越王ゑつわう、国にかへり、故郷こきやうを見るに、いつしか三年に荒れ果てて、鳥、松桂せうけいの枝に巣食ひ、狐、蘭菊の草むらに隠る。払ふ人なき閑庭かんていには、落葉らくえふ満ちて、蕭々せうせうたり。越王帰り給ひぬと聞きければ、隠れたる范蠡はんれい、太子の王鼠石与せきよを宮中に入れ奉る。また、越王の后西施せいしと言ふ美人あり。これぞ、呉国に聞こゆるなんこく・南威なんい・とうい・西施とて、四人の美人ありける中にも、西施は、顔色がんしよく世に優れ、嬋娟せんげんたるかほばせ、類ひなかりしかば、越王、殊に寵愛して、しばしもかたはらを離し給はざりき。




さて、越王(勾踐こうせん)は、国に帰り、故郷を見れば、いつしか三年の間に荒れ果てて、鳥は、松桂の枝に巣食い、狐は、蘭菊の草むらに隠れ住んでいました。払う人もない閑庭には、落葉が積もり、蕭々([風雨・落葉などの音のものさびしいさま])としていました。越王が帰ったと聞いて、隠れていた范蠡は、太子の王鼠石与を宮中に入れました。また、越王の后に西施と言う美人がいました。これぞ、呉国に聞こゆるなんこく(南国)・南威・とうい(東威)・西施と申して、四人の美人がある中にも、西施は、顔貌世に優れ、嬋娟([容姿のあでやかで美しいさま])たる容は、類いないものでした、越王は、とりわけ寵愛して、わずかも傍らを遠ざけることはありませんでした。


続く


by santalab | 2015-06-26 21:19 | 曽我物語

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