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Santa Lab's Blog


「曽我物語」呉越の戦ひの事(その29)

伍子胥ごししよ、敢へてこれを悼まず、「我、君臣の朝恩てうおんを捨つべきにあらず。国乱れば、一番に出でて、呉王ごわうの為に、かばねを晒すべき身なり。越王ゑつわうつはものの手に懸からんより、君王くんわうの手に懸かり、死なん事、恨むべきにあらず。但し、君、臣が諌めを聞かずして、怒りを広くして、我に死を与ふる事、天既に君を捨つる始めなり。君、越王に滅ぼされて、刑戮けいりくの罪に付せられん事、三箇年を過ぐべからず。願はくは、我が両眼りやうがん穿うがちて、この東門に掛けて、その後、かうべを刎ね給へ。一双眼さうまなこ枯れずして、待ちまうすべし。君、勾踐こうせんに滅ぼされんを見て、笑はん」と申しければ、呉王ごわう、いよいよ怒りをなして、つひに伍子胥を斬られけり。無慙なりし有様なり。




伍子胥は、まったく悲しむことなく、「わたしは、君臣として朝恩を捨てるつもりはございません。国に乱が起これば、一番に出て、呉王(夫差ふさ)のために、屍を晒すつもりです。越王(勾踐こうせん)の兵の手に懸かるより、君王の手に懸かり、死ぬることを、恨みには思いません。ただ、臣の忠告を聞かず、怒りに任せて、わたしに死を与えれば、天は君を見捨てることでしょう。君(夫差)が、越王(勾踐)に滅ぼされて、刑戮([死刑に処すること])の罪に問われるのに、三年を過ぎることはございません。願わくは、わたしの両眼をくり抜き、この東門に掛けて、その後に、首を刎ねられますよう。双眼枯れずに、その時をお待ちします。君が、勾踐に滅ぼされるところを見て、笑いましょうぞ」と申せば、呉王は、ますます怒り、遂に伍子胥を斬らせました。浅はかなことでした。


続く


by santalab | 2015-06-27 11:30 | 曽我物語

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