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「曽我物語」呉越の戦ひの事(その33)

呉王ごわうみづかあひ戦ふ事、三十二箇度なり。夜半に及びて、百余人のつはもの、六十騎に成り、枯蘇こそ山に上りて、越王ゑつわうの方へ使ひを立てて、「君王くんわう、昔、会稽山くわいけいざんに苦しめおき、越王ゑつわう勾踐こうせんが命を助けし事、忘れべきにあらず。みづからが臣下と成り、今、この乱の起こす事、偏へに助けし重恩ぢゆうおんにあらずや。我も、今より後、越王ゑつわうの如く、また君王の玉趾ぎよくしを頂かん。君、もし会稽くわいけいの恩を忘れずは、今日けふの死を助け給へ」と、言葉を尽くしけり。




呉王(夫差ふさ)は、自ら兵を率いて越と戦うこと、三十二度でした。夜半に及んで、百余人の兵は、六十騎になり、枯蘇山(現江蘇省蘇州市姑蘇区)に上り、越王(勾踐こうせん)の方へ使いを立てて、「君王(勾踐)が、昔、会稽山に攻め置かれた時、越王勾踐の命を助けたことを、忘れてはいないでしょう。勾踐自ら臣下となり、今、この乱の起こすことができたのも、あの時助けた重恩によるものではないですか。我も、今より後、越王と同じように、君王の玉趾([貴人の足])の前にひざまずきましょう。君よ、もし会稽の恩を忘れていないのならば、今日の死を助けられますよう」と、言葉を尽くして懇願しました。


続く


by santalab | 2015-06-27 11:45 | 曽我物語

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