Santa Lab's Blog


「曽我物語」悉達太子の事(その1)

これや、悉達しつだ太子の、十九にて、菩提の心ざしを起こし、檀特山だんどくせんに入り給ひしに、車匿舎人しやのくとねり犍陟駒こんでいこまを賜はり、王宮わうくうかへりし思ひ、今更に思ひ知られたり。鞍のうへ空しき駒の口を引き、古里へとは急げども、心は後にぞ留まりける。五月雨の雲間も知らぬ夕暮ゆふぐれに、いづくをそことも知らねども、そなたばかりをかへりみて、涙とともに歩みける、心の内ぞ、無慙なる。




これ、悉達太子が、十九で、菩提([悟り])の心ざしを起こし、檀特山([北インドのガンダーラ 地方にあり、釈迦の前身、須大拏しゆたぬ太子が菩薩の修行をしたという山。
悉達太子が苦行した山とする俗説もある])に入られた時、車匿舎人(釈迦が出家した時、犍陟駒を引いたらしい)が、犍陟駒([悉達太子が、出家するため王宮を去るときに乗った白い馬の名])を賜わり、王宮(舎衛城)に帰る思いが、今さらながら思い知られるのでした。鞍の上空しき馬の口を引き、故郷へと急げども、心は後ろに残りました。五月雨の雲間も知らぬ夕暮れに、そこをどことも知れませんでしたが、後ろばかり振り返り、涙とともに歩む、心の内が、哀れでした。


続く


[PR]
by santalab | 2015-07-06 07:33 | 曽我物語

<< 「曽我物語」悉達太子の事(その2)      「曽我物語」八幡大菩薩の事(その3) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧