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「曽我物語」悉達太子の事(その2)

さても、この人々は、「郎等らうどうどもはこしらへかへしぬ、今は、思ひ置く事もなし。いざや、最後の出で立ちせん」。「然るべし」とて、十郎じふらうがその夜の衣裳いしやうに、白き帷子かたびらわき深く欠きたるに、村千鳥むらちどり直垂ひたたれの袖を結びて、肩に掛け、一寸まだらの烏帽子懸けを強く掛け、黒鞘巻くろざやまき・赤銅しやくどう作りの太刀をぞ持ちたる。同じく五朗ごらうが衣裳には、あわせの小袖の腋深く欠きたるを、狩場の用にやしたるらん、唐貲布からさゆみの直垂に、てふを三つ二つ所々に書きたるに、紺地こんぢの袴のくくりゆるらかに寄せさせ、袖をば結びて、肩に掛け、平紋ひやうもんの烏帽子懸けを強く掛け、赤木の柄の刀を差し、源氏重代ぢゆうだいの友切肩に打ち掛け、まことに進める姿、ふきうが昔とも言ひつべし。頼もしとも余りあり。




さて、この人々(曽我祐成すけなり時致ときむね)は、「郎等([家来])どもはなんとか帰した、今は、思い残すことはない。さあ、最後の出で立ちしようぞ」。「そうしましょう」と、十郎(祐成)のその夜の衣裳は、白い帷子([裏を付けない衣服])の腋広く開いたものに、村千鳥(群千鳥)の直垂([衣])の袖を結んで、肩に掛け、一寸斑の烏帽子懸け([烏帽子の上からかけ、あごの下で結ぶ緒])を強く掛け、黒鞘巻き・赤銅作りの太刀を持っていました。同じく五朗(時致)の衣裳は、袷([裏を付けた衣])の小袖の腋広く開いたものに、狩場に着たものか、唐貲布([粗く織った麻布])の直垂に、蝶を三つ二つ所々に描いたものに、紺地の袴の括り([狩衣などの袖口や指貫さしぬきなどの裾口に通したひも])をゆるやかに引き結び、袖を結び、肩に掛け、平紋の烏帽子懸けを強く掛け、赤木の柄の刀を差し、源氏重代の友切を肩に打ち掛け、進む姿は、ふきう(?)の昔とも思われました。まこと頼もしいものでした。


続く


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by santalab | 2015-07-07 19:01 | 曽我物語

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