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「曽我物語」館館にて咎められし事(その2)

ここをば過ぎぬれど、未だ幾つの木戸、幾重いくへの関、警固をかとほるべき。事むつかしき折節をりふしかなと、足早に行きけるに、千葉介ちばのすけが館の前をぞ通りける。ここにも、木戸をきぶく立てて、半装束しやうぞくの警固の者数十人すじふにん、これも、かがりを焚きてぞ固めける。「何者なれば、これほど夜更けて通るらん。遣るまじき」とぞ咎めける。五朗ごらう打ち寄りて、「御内方の者なり。苦しからず」とて打ち寄り、木戸を押し開く。「抑へて通るは、やうあり。我らが知らぬ人あるまじ。御内方とは誰なるらん。名字みやうじを名乗れ」とぞ咎めける。「我らは、名字もなき者なり。通し給へ」と言ひければ、「御内方へとは、大様おほやうなり。やはか通る」と広言くわうげんて、木戸を荒くぞ押し立てたる。




ここを過ぎましたが、まだいくつの木戸、幾重の関、警固を通ることか。むずかしいことだと、足早に過ぎました、千葉介(千葉常胤つねたね)の館の前を通りました。ここにも、木戸をきぶく(厳しく?)立てて、半装束の警固の者が数十人、これも、篝火を焚いて警固していました。「何者が、これほど夜更けて通るぞ。通すことはできぬ」と咎めました。五朗(曽我時致ときむね)は近く寄り、「身内方の者です。怪しい者ではありません」と言いながら近付いて、木戸を押し開きました。「通さぬと申すに、どういうつもりぞ。我らが知らぬ人などおらぬ。身内方とは誰のことだ。名字を名乗れ」と咎めました。「我らは、名字もない者です。お通しください」と申せば、「身内方へとは、大口を聞くものよ。ここを通る訳を申せ」と偉そうな口を聞き、木戸を荒く閉じました。


続く


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by santalab | 2015-07-11 08:36 | 曽我物語

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