人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「曽我物語」浅間の御狩の事(その6)

畠山はたけやま重忠しげただ、御前よりかへられけるに、行き合ひたり。あはやと思ひ、松明の陰へぞ忍びける。雑色ざつしき燈火ともしびを振り立てて、「何者ぞ」と咎めにけり。重忠聞きて、「咎めず供の者ぞ」とのたまへば、物をも言はで、過ぎにけり。姿ばかりにて、見知り給ひつると、後には思ひ知られける。重忠、この人々の館へ消息せうそくあり。「御心ざしども、あはれに思えさうらふ。わざとくはしくはまうさず候ふ。後楯うしろだてにはなり申すべし。御用意こそ候ふらめ」とて、粮物らうぶつ少し送られけり。




畠山重忠が、御前より帰るところに、行き合いました。二人(曽我祐成すけなり時致ときむね)はあわやと思ひ、松明の陰へ隠れました。雑色が、燈火を振り立てて、「何者ぞ」と咎めました。重忠はこれを聞いて、「咎めずともよい供の者ぞ」と申したので、物も言わず、通り過ぎました。姿ばかりで、二人と見知ったと、後に思い知られました。重忠から、この人々の館へ消息([文])がありました。「心ざし、哀れに思っております。詳しくは尋ね申しません。後楯になりましょう。用意が必要でしょう」と、粮物([食料])を少し送りました。


続く


by santalab | 2015-07-15 08:34 | 曽我物語

<< 「曽我物語」浅間の御狩の事(その7)      「曽我物語」浅間の御狩の事(その5) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧