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「曽我物語」弁才天の御事(その1)

そもそも、ふん女と例へに引きける由来をたづぬれば、昔、大国たいこく流沙りうさ水上みなかみに、ふん女と言へるをんなあり。天下てんがに聞こゆる長者ちやうじやなり。金銀珠玉しゆぎよくのみにあらず、七珍万宝しつちんまんぼう四方しはうの蔵に余りける。しかれども、如何なる前業ぜんごふにや、一人の子なし。悲しみて、祈れども、叶はず。ある時、思はざる懐妊くわいにんす。喜びの内、苦悩くなう言ふ計りなし。されども、出で来たるべき嬉しさに、物の数とも思はざりけり。




そもそも、ふん女を例えに引いた訳は、昔、大国流沙([中国西北方の砂漠地帯])の水上に、ふん女という女がいました。天下に聞こえる長者([富裕者])でした。金銀珠玉のみならず、七珍万宝は、四方の蔵に余るほどでした。けれども、如何なる前業か、一人の子もいませんでした。悲しんで、祈れども、願いは叶いませんでした。しかぢある時、思いもしないことに懐妊しました。よろこびながら、苦しみは例えようもありませんでした。けれども、子ができたうれしさを思えば、苦悩は物の数とも思えませんでした。


続く


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by santalab | 2015-07-18 10:58 | 曽我物語

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