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「曽我物語」弁才天の御事(その24)

十郎じふらう殿は、如何に」と問へば、「和田殿とさかづきを論じて、只今事出で来ぬ」とまうす。さればこそと思ひ、透垣すいがきを跳ね越え、兄のたりける後ろの障子しやうじを隔て立ちけり。時致ときむね、これにありと知られん為に、かうがひにて、障子越しに、袴の着際きぎはを差しければ、十郎「そ」と問ふ。五朗ごらう小声こごゑに成りて、「時致、これにあり」と言ふ。十郎聞きて、万騎のつはものを後ろに持ちたるより頼もしくぞ思ひける。




「十郎殿(曽我祐成すけなり)に、何かあったか」と訊ねると、「和田殿(和田義盛よしもり)と盃を論じて([酒席で杯を差す順序を言い争うこと])、今にも事が起こりそうです」と申しました。やはりそうかと思い、五朗(曽我時致ときむね)は透垣([板か竹で、少し間をあけて作った垣])を跳ね越え、兄(祐成)がいる後ろの障子を隔てて立ちました。時致は、ここにいると知らせるために、筓([刀の鞘につけてあるへら状のもの。男子が髪をかくのに用いた])で、障子越しに、袴の着際([着物など身につけるものの端の部分])を差せば、十郎(祐成)は「誰だ」と訊ねました。五朗(時致)は、小声になって、「時致は、ここにおります」と言いました。十郎はこれを聞いて、万騎の兵を後ろに持つよりも頼もしく思いました。


続く


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by santalab | 2015-07-19 11:13 | 曽我物語

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