Santa Lab's Blog


Sequel to the Short Cut (part 12)

彼女が息を切らしてやって来たのは午後十一時前でした。
「急いで来たんだけれど、遅くなっちゃったわ。」
かなり酔っているようでした。
僕は、
「別に構わないよ、
夕季ちゃんはいい子だから。
それに比べて今日の君はいつになく上機嫌だね。起きてたら夕季ちゃんに笑われるところだったよ。そうだ今夜は、夕季ちゃんと一緒に泊まっていったら。」
と言いながら冷蔵庫から缶ビールを二本取り出して、
「どう?」
と訊ねました。彼女は、
「いつもご迷惑かけてすいませんね。走って来たから喉渇いちゃった。」
と言ってビールを受け取りました。彼女がビールを一口飲んで落ち着いたところで僕は、
「あんまり無理すんなよ。迷惑とかまったく思っていないから。ずっと、夕季ちゃんを預かってあげるから、大人になるまでね。そしたら、君は僕の義母になるかも知れないけれど。」
なんて冗談を言いながらビールを飲みました。
その時の彼女はまるで酔っていないかのようでした。そしてかつてのようにかわいらしい声で、
「それはないわ。」
と一言答えました。
僕が、
「どうして?」
って訊ねる間もなく彼女は、
「あなたは今でもこのわたしが好きだから。」
そう言うとまたビールを一口。


僕は何て答えようか迷いました。たった一言を探して悩んで、それでも気の利いた言葉も見付けられずに、
「そうだね。」


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by santalab | 2015-08-10 23:52 | 独り言

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