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「曽我物語」館回りの事(その8)

左衛門さゑもんじよう、神ならぬ身の悲しさは、我を心に懸くるとは、夢にも知らずして、「十郎じふらう殿、さかづき如何に干し給はぬ。御前たち、数多あまたましませば、肴待ち給ふと思えたり。今様いまやう謡ひ給へ」と言ひければ、二人の君、扇拍子あふぎひやうしを打ちながら、

蓬莱山ほうらいさんには千年ちとせ経る
千秋せんしう万歳ばんぜい重なれり
松の枝には鶴住み
いはほうへには亀遊ぶ

と言ふ一声せいかへし、二辺までこそ謡ひけれ。その時、盃取り上げて、三度までこそ干したりけれ。




左衛門尉(工藤祐経すけつね)の、神ならぬ身の悲しさよ、我を心にかけて狙っているとは、夢にも知らず、「十郎殿(曽我祐成すけなり)、盃をどうして飲み干さぬ。御前たちが、数多くおる故、肴待っておるや。今様([平安中期までに成立し,鎌倉初期にかけて流行した歌謡])を謡われよ」と言えば、二人の君(手越少将と黄瀬川の亀鶴)、扇拍子を打ちながら、

蓬莱山([三神山の一つ。神仙が住み、不死の薬、金銀の宮殿があるという])は千年経て
千秋万歳([千年万年])過ぎました
松の枝には鶴が住み
巖([岩])の上では亀が遊んでおりまする

と言う一声を繰り返し、二度謡いました。その時、祐成は盃を取り上げて、三度呑んで干しました。


続く


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by santalab | 2015-09-16 07:12 | 曽我物語 | Comments(0)

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