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「増鏡」烟の末々(その29)

明くる年は建長けんちやう五年なり。正月十三日御門御かうぶりし給ふ。御年十一、御いみな久仁ひさひとまうす。いとあてにおはしませど、あまりささやかにて、また御腰などの怪しく渡らせ給ふぞ、口惜くちをしかりける。いはけなかりし御ほどは、なほいと浅ましうおはしましけるを、閑院の内裏焼けける紛れより、うるはしく立たせ給ひたりければ、内の焼けたる浅ましさは何ならず、この御腰のなほりたる喜びをのみぞ、上下思しける。




明くる年は建長五年(1253)でございました。正月十三日に帝(第八十九代後深草天皇)が元服されました。御年十一歳、諱を久仁と申されました。たいそう上品でございましたが、控え目なお方でございましたが、腰が不思議と曲がっておられたのが、おかわいそうなことでございました。幼い頃は、たいそうお気の毒でございましたが、閑院の内裏が焼失した頃(1259)より、まっすぐにお立ちになられるようになられて、内裏が焼け失せたことよりも、後深草天皇の腰が直られたよろこびを、上下の人々はありがたく思っておりました。


続く


by santalab | 2015-11-19 08:32 | 増鏡

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