人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「太平記」頼員の事(その10)

加様かやう大手おほての軍強ければ、佐々木判官はうぐわんが手の者千余人、後ろへまはつて錦小路にしきのこうぢより、在家を打ち破つて乱れ入る。多治見今はこれまでとや思ひけん、中門に並みて、二十二人の者ども、かたみに差し違へ差し違へ、さんを散らせる如く臥したりける。追手おふての寄せ手どもが、門を破りけるそのあひだに、搦め手の勢ども乱れ入り、首を取つて六波羅へ馳せ帰る。二時計りの合戦に、手負ひ死人を数ふるに、二百七十三人なり。




こうして大手([敵を表門または正面から攻める軍隊])の軍は強かったので、佐々木判官(佐々木道誉だうよ)の手の者千余人は、後ろに廻って錦小路(四条を東西に通る小路)より、在家を打ち破って乱れ入りました。多治見(多治見国長くになが)は今はこれまでと思ったか、中門に集まり、二十二人の者どもは、互いに刺し違えて、算を散らした([算木をばらばらにする])如く倒れ付しました。追手([敵の正面を攻撃する軍勢])の寄せ手どもが、門を破るその間に、搦手([城の裏門や敵陣の後ろ側を攻める軍勢])の勢どもが乱れ入り、首を取って六波羅へ馳せ帰りました。二時計りの合戦で、手負い死人を数えれば、二百七十三人に及びました。


続く


by santalab | 2015-11-20 19:16 | 太平記

<< 「増鏡」烟の末々(その31)      「太平記」頼員の事(その9) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧