Santa Lab's Blog


「源氏物語」夢浮橋(その14)

まがふべくもあらず、書き明らめ給へれど、異人は心も得ず。「この君は、誰にかおはすらむ。なほ、いと心憂し。今さへ、かくあながちに隔てさせ給ふ」と責められて、少し外様に向きて見給へば、この子は、今はと世を思ひなりし夕暮れに、いと恋しと思ひし人なりけり。同じ所にて見しほどは、いと性なく、あやにくにおごりて憎かりしかど、母のいとかなしくして、宇治にも時々率ておはせしかば、少しおよすけしままに、かたみに思へり。




疑いようもなく、書いてあること(還俗しなさい)は明らかでしたが、ほかの人には何のことか分かりませんでした。尼君から「この君(小君)は、誰ですか。ああ、悲しいこと。今も、何か隠しておられるのですね」と責められて、女は少し外を向いて見れば、この子は、今を世の限りと思った夕暮れに、とても恋しく思った弟でした。同じ所に住んでいた頃は、意地悪く、とても生意気で憎らしく思っていましたが、母がたいそうかわいがって、宇治(現京都府宇治市)にも時々連れてきたので、少し大きくなってからは、互いに仲良くしていました。


続く


by santalab | 2016-04-08 21:21 | 源氏物語

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