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Santa Lab's Blog


「増鏡」あすか川(その5)

堀川ほりかはの少将基俊もととし基具もとともの大納言の子、唐織物、裏山吹、三重みへの狩衣、柳だすきをあをく織れる中に桜を色々に織れり。萌黄もえぎ打衣うちぎぬ、桜をだみ付けにして、輪違へを細くかねもんにして、色々の玉を付く。にほひつつじの三つぎぬくれなゐの三重のひとへ、これも箔散らす。二条の中将ちゆうじやう経良つねよし良教よしのりの大納言の御子なり、これも唐織物の桜萌黄・紅の衣・同じ単なり。皇后宮権のすけ中将実守さねもり、これも同じ色の樺桜かばざくらの三つ衣・紅梅のにほひの三重みへの単、右馬頭隆良たかよし隆親たかちかの子にや、緑苔ろくたいの赤色の狩衣、玉のくくりを入れ、あを魚綾ぎよれう表着うはぎ・紅梅の三つ衣・同じ二重ふたへの単・薄色の指貫さしぬき、少将実継さねつぐ、松がさねの狩衣・くれなゐの打衣・紫の二つ衣、これも色々の縫ひ物・置物など、いと細かになまめかしくなしたり。陵王りようわうわらはに、四条の大納言の子、装束しやうぞく常のままなれど、紫の緑苔の半尻、かねもん赤地あかぢの錦の狩衣、青き魚綾の袴、笏木しやくぎ皆彫みなゑり骨、紅の紙に張りて持ちたる用意気色、いみじくもて付けて、めでたく見え侍りけり。




堀川少将基俊(堀川基俊)は基具大納言(堀川基具。後太政大臣)の子でござました、唐織物、裏山吹、三重の狩衣に、柳襷([文様の一])を青く織った中に桜を色々に織っておりました。萌黄の打衣([表地に光沢や張りを出す処理を施した衣])に、桜を不揃いに付けて、輪違い(輪違い文様)を細く金の文にして、色々の玉を付けておりました。匂いつつじ(オレンジがかったピンク色らしい)の三つ衣に、紅の三重の単、これも金箔が散らしてありました。二条中将経良(粟田口経良)は良教大納言(粟田口良教)の子でございました。これも唐織物の桜萌黄・紅の衣・同じ紅の単でした。皇后宮権亮中将実守(三条実盛)も、同じ色の樺桜(淡い赤褐色らしい)の三つ衣・紅梅色の三重の単、右馬頭隆良(鷲尾隆良)は隆親(四条隆親)の子でしたか、緑苔([綾織の一])の赤色の狩衣、玉括りを入れ、青色の魚綾([紋織物の一])の表着・紅梅の三つ衣・同じ紅梅の二重の単・薄色([薄紫色])の指貫([袴])、少将実継は、松襲([表は萌葱もえぎ、裏は紫])の狩衣・紅の打衣・紫の二つ衣、これも色々の縫い物([刺繍])・置物([衣服につけて、飾りにする物])など、とても細やかに美しくされておりました。陵王([左方=唐楽。に属する壱越いちこつ調の一人舞])の童に、四条大納言(四条隆親たかちか)の子が参りました、装束は舞装束でしたが、紫の緑苔の半尻([狩衣の一。後ろの丈が前身より短いもの。貴族の子どもが着用した])、金の紋、赤地の錦の狩衣、青色の魚綾の袴、笏木([イチイ科])の皆彫骨([扇骨に透かし彫りのある扇])に、紅の紙を張って持った心を尽くした姿は、何一つ不足なく、りっぱに見えました。


続く


by santalab | 2016-04-17 10:02 | 増鏡

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