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「太平記」兵庫海陸寄手事(その3)

去るほどに、海上の船ども帆を下ろして礒近く漕ぎ寄すれば、陸地くがぢの勢も旗を進めて相近あひちかにぞなりにける。両陣互ひに攻め寄せて、先づ沖の船より大鼓たいこを鳴らし、鬨の声を上ぐれば、陸地の搦め手五十万騎、受け取つて声をぞ合はせける。その声三度はれば、官軍くわんぐんまた五万余騎、楯の端を鳴らしえびらを叩いて鬨を作る。敵御方の鬨の声、南は淡路絵嶋ゑじまが崎・鳴戸の沖、西は播磨路はりまぢ須摩の浦、東は摂津の国生田の森、四方しはう三百余里に響き渡つて、まことに天維も断えて落ち、坤軸こんぢくも傾くばかりなり。




やがて、海上の船どもは帆を下ろして磯近く漕ぎ寄せると、陸地の勢も旗を進めて相近くなりました。両陣互いに攻め寄せて、まず沖の船より太鼓大鼓を鳴らし、鬨の声を上げると、陸地の搦め手五十万騎も、呼応して声を合はわせました。鬨の声が三度終わると、官軍五万余騎が、楯の端を鳴らし箙([矢を入れて肩や腰に掛け、携帯する容器])を叩いて鬨を作りました。敵味方の鬨の声は、南は淡路絵嶋が崎(絵島=淡路島の北東に浮かぶ島)・鳴戸(現徳島県鳴門市)の沖、西は播磨路須摩(現兵庫県神戸市須磨区)の浦、東は摂津国生田の森(現兵庫県神戸市中央区)、四方三百余里に響き渡って、まことに天維([天が落ちないように四隅を支えているという想像上の綱])も断えて落ち、坤軸([大地の中心を貫き支えていると想像される軸])も傾くばかりでした。


続く


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by santalab | 2016-10-07 07:31 | 太平記 | Comments(0)

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