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「太平記」身子声聞一角仙人志賀寺上人事(その5)

それ仙道は露盤ろはんの気を嘗めても、婬欲に染みぬれば、仙の法皆尽きてそのしるしなし。さればこの仙人も一度后に落とされけるより、鯢桓げいくわん之審も破れて通力もなく、金骨返つて本の肉身と成りしかば、仙人忽ちに病衰びやうすゐして、やがて空しく成りにけり。その後后は宮中へ立ち帰り、竜神は天に飛び去つて、風雨時に随ひしかば、農民東作を事とせり。その一角仙人は仏の因位いんゐなり。その婬女いんぢよ耶輙陀羅女やしゆだらによこれなり。




仙道は露盤([仏塔の相輪のいちばん下にある四角い盤])の気を嘗めても、婬欲に染めば、仙法は皆尽きて法験を失います。なればこの仙人(一角仙人)も一度后に落とされてより、鯢桓之審([鯨が旋回して集まるような、大海の水深が深い場所のこと])の極意は破れて通力を失い、金骨([常人とは違った尊い風骨。仙骨])は本の肉身となって、一角仙人はたちまちに病衰して、やがて空しくなりました。その後后は宮中に帰り、竜神は天に飛び去って、風雨は時に従い、農民は東作([農業])に勤しみました。一角仙人は仏の因位([まだ修行中で,成仏していない菩薩などのような地位])でした。婬女は耶輙陀羅女([耶輙陀羅]=[釈迦が出家する前、すなわち シッダールタ太子だった時の妃])でした。


続く


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by santalab | 2017-01-07 09:52 | 太平記 | Comments(0)

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