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「太平記」山名右衛門佐為敵事付武蔵将監自害の事(その9)

赤松弾正少弼だんじやうせうひつ氏範うぢのりは、いつも打ち込みの軍を好まぬ者なければ、手勢計り五六十騎ごろくじつき引き分けて、返す敵あれば、追つ立て追つ立て切つて落とす。名もなき敵どもをば、何百人切つてもよしなし。あはれよからんずる敵に逢はばやと願ひて、北白川きたしらかはを今路へ向かつて歩ませ行く処に、洗ひかはの鎧の妻取つたるに竜頭たつがしらの兜のめ、五尺許りなる太刀二振り帯いて、歯のわたり八寸計りなる大鉞おほまさかりを振りかたげて、近付く敵あらばただ一打ちに打ちひしがんと尻目に敵を睨んでしづかに落ち行く武者あり。




赤松弾正少弼氏範(赤松氏範)は、打ち込み([秩序がなく入り乱れること])の軍を好まなかったので、手勢ばかり五六十騎を引き分けて、返す敵があれば追い立て追い立て切つて落としました。名もない敵どもを、何百人斬っても仕方ない。ああよい敵に遭わないかと願いながら、北白川(現京都市左京区)を今路([今路越]=[近江に至る古路])へ向かって馬を歩ませ行くところに、洗い革([水に浸してよく練った白いなめし皮。また、薄紅色に染めたなめし皮])の鎧を褄取り([褄取威]=[袖や草摺の端を斜めに、地色とは別の色で威したもの])したものに竜頭([竜の形をした兜の前立])の兜の緒を締めて、五尺ばかりの太刀を二振り佩き、歯の亘り([周囲])渡り八寸ばかりの大鉞を肩に懸け、近付く敵があればただ一打ちに打ち下ろそうと尻目に敵を睨んで閑かに落ち行く武者がいました。


続く


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by santalab | 2017-06-21 07:01 | 太平記 | Comments(0)

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