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「太平記」山名右衛門佐為敵事付武蔵将監自害の事(その14)

武蔵将監しやうげんは、二町にちやう許り落ち延びたりけるを、阿保あふと荻野と遥かにかへりみて、「今は叶はぬ所にて候ふ。御自害候へ」と勧めける間、馬上にて腹掻き切り、さかさまに落ちて死にけり。この首を取らんとて、敵一所に打ち寄つてひしめきけるを、沼田小太郎ただ一騎かへし合はせて戦ひけるが、敵は大勢なり。御方は続かず、叶ふまじとや思ひけん、同じく腹掻き切つて、武蔵将監が死骸を枕にしてぞ臥したりける。その間に阿保と荻野は落ち延びて、無甲斐命を助かりけり。




武蔵将監(高師詮もろあきら。高師直もろなほの子)は、二町ばかり落ち延びていましたが、阿保(阿保忠実ただざね)と荻野(荻野朝忠ともただ)が遥かに振り向いて、「今は叶わぬところでございます。自害なされませ」と勧めたので、馬上で腹を掻き切り、逆様に落ちて死にました。この首を取ろうとして、敵が一所に打ち寄ってひしめくところを、沼田小太郎がただ一騎返し合わせて戦いましたが、敵は大勢でした。味方は続かず、今はこれまでと思ったか、同じく腹を掻き切って、武蔵将監の死骸を枕にして臥しました。その間に阿保(忠実)と荻野(朝忠)は落ち延びて、甲斐なき命を助かりました。


続く


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by santalab | 2017-06-26 08:16 | 太平記 | Comments(0)

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